第11章 恋慕3−2 花の裁き ヤンデレEND【家康】R18
衝動のままに、家康は手にした花を中庭に投げ捨てた。
足早に部屋へと向かいスパンッと一気に襖を開く。
「あんた、見かけによらず相当悪い女だね」
「家康‥‥!」
名無しの目が見開かれる。
家康は後ろ手に襖を閉じて、座る名無しを見下ろした。
「俺の事が好きなんじゃないの?それで信長さまとの事で思い悩んでたんじゃないの?それなのに、他の男ともできてて、ここを逃げる相談?」
翡翠色の瞳が爛々と燃えている。
だけど口調はあくまで冷静。
それがかえって強い怒りを感じ、名無しは目を潤ませて首をふるふると横に振った。
「違う…彼は違うの…あの…私は…」
「とにかくあの男と逃げようとしてたのは確かだ。絶対にそうはさせない!」
動揺のあまり上手く言葉が出ない様子の名無しを遮って、家康は彼女の腕を掴み、強引に引っ張っていった。
着いたのは家康の御殿の地下牢。
そこに名無しを押し込めたが、もうされるがままだった。
「もうここから二度と出さない」
彼女は両腕を床につき屈みこんだまま、何も言わない。
こちらを見ようともしない。
家康は小さなため息をつく。
「違う、って言ってたけど何が違うの?言って、聞くから」
「……」
(言い訳もしないのか…)
沈黙が続き、それに苛立った家康の感情が沸々と増していく。
強引に名無しの肩を掴んで振り向かせてから、冷たい地下牢の床に組み敷いた。
両腕の檻に閉じ込めた彼女をじっと見下ろす。
「悪い女‥‥」
なのに、その顔も姿も家康の心を強く捉えてやまない。
「……」
「…何か言ったら?」
名無しは何も言わずに目を閉じた。
「ねえ!俺を見てよ!……俺だけを!」
悔しくて苦しくて、叫ぶように呼びかけたって、その声は強固な牢の壁に虚しく響くだけだった。
あの夜のように、無理矢理に名無しを抱いた。
あの夜よりもっとどす黒い衝動で。
あの夜とは違い、彼女はいとも簡単に家康のものになった。
強引に口づけても、
荒々しく帯を解いても、
柔らかな肢体を弄っても、
濡れていない秘裂を穿っても、
彼女はまったく抵抗せず、ときおり小さく呻くだけ。
とうとう何も言わなかった。