第8章 恋慕1 奪われた身体【家康】R18
教えた事はきちんと復習をして頭に入れてくる。
勉強熱心でこんなに無邪気に笑う娘に、淫らな思いを抱いた事に背徳感を覚える。
「次、その8つの生薬を選んで混ぜてみて」
「はい」
名無しは乳鉢と乳棒を手元に引き寄せる。
「えっと、どれだっけ」
机には生薬の乗った小さな器がたくさん並んでいる。
見渡してしばらく考え込んでいた名無しだが、やがてカルタでもしているように楽しげに一つ一つ見つけ、器から生薬を乳鉢に移していく。
「最後の牡丹皮…あった!」
名無しの位置から最も遠い机の一番左端、家康の左側に牡丹皮の乗った器が置いてあった。
立ってそこまで移動すればいいのに横着した名無しは、家康の体の前から左手を伸ばす。
家康の右腕に名無しの胸が当たった。
「‥‥っ!!」
膨らみの感触に家康の思考が止まり、反射的に熱いものが込み上げる。
手を伸ばしてもまだ牡丹皮に届かなかった名無しは、体を傾け家康の方にもたれかかる。
家康の右腕に名無しの胸の柔らかな質感が押しつけられた。
「‥‥く‥‥」
もう限界だった。
次の瞬間、家康は思わず後ろから名無しを抱きしめていた。
「!!」
牡丹皮の器が床に落ちて、カラカラと音を立てた。
驚いた名無しの身体がびくりとこわばる。
「‥‥もう‥‥何なんだよ‥‥」
家康は苦しげに掠れた声を漏らし、名無しを抱きしめる腕に力をこめる。
「家康‥‥?どうしたの…?」
突然のことに名無しが不思議そうに尋ねる。
「言っとくけどあんたが悪いんだよ。無防備すぎでしょ、誘惑してるの?」
「…え?…なんのこと…?」
わかってない様子の名無しに更に苛立ち、
目の前の白いうなじ、内側から発光するような肌を汚したくなり唇を強く押し当てた。
「‥‥あっ‥‥」
名無しがびくっと首をすくめる。
首もとの甘い香りがより強く立ち上ってそれに包まれると、家康の理性はガラガラと更に崩れていく。
名無しを床に倒し組み敷いた。
上から名無しを見おろす翡翠色の瞳は、いつもの理知的な輝きとは全く違う。
熱く獰猛で鋭い。
家康の豹変に名無しは思考が追いつかず身体が動かなかった。