第27章 五色の夜 春日山城編2 【幸村】R18
「あぁ…ん…」
幸村の手と唇が離れたときには、すでに私はくったりしてしまって、布団に倒れこんだ。
「あー可愛い」
幸村は私の顔にかかった髪を撫でて横に流すと、耳元に唇を寄せ、
「全部脱がせてもいいか?」
と律儀に聞く。
「…私だけじゃ恥ずかしい」
「……だな」
幸村はすぐに着物を脱ぎ、バサッと放った。
鍛え上げられた身体に驚いてしまった。
やっぱり彼は、壮絶な戦場を幾度もくぐりぬけている武将なんだと、あらためて実感する。
近くで見ると肩や腕などの骨格は思っていた以上に太く逞しく、均整のとれた筋肉で全身が覆われていた。
「よし!これでいいだろ」
時々、ムードがなくなるなあ。
だけど、そうなんだよね。
私たちは決して恋仲ではないのだから。
そんなことを考えて複雑な気持ちになっていたら、するすると着物をすべて脱がされていった。
互いに何もまとわず、何にも飾られない姿になると、幸村は私に覆いかぶさり、背中に腕を回してぐいっと抱きよせた。
幸村の身体、すごく熱い。
隙間なく触れ合った肌から、温もりが伝わってくる。
部屋の中の空気はとぎすまされたような冷たさだけど、今は全然寒くない。
私が腕を彼の首に回すと、それに応えるように、さらにぎゅっと抱きしめ返された。
幸村との夜は、これまでの概念が揺らいでしまう経験だった。
夜を共にし、身体を重ねる。
それは恋人同士が愛を確かめあう行為で、私にとってそれ以外はありえなかった。
だけど佐助くんに聞いたように、ここでは違う意味も持つ。
親愛の情を持つ異性同士が、お互いをより深く知るためにする。
それを幸村と経験した。
そんなことをしていいのかダメなのか、熱に浮かされてしまいわからないまま。
情熱的な瞳で見つめられて、
激しく唇を奪われ、
無骨な手で触れられて…
身体や反応、嬌声、吐息まで、普段見せない私をたくさん知られた。
私も彼に触れ、全身で彼を感じ、新たな部分をたくさん知った。
そんな夜が更けていく…