第27章 五色の夜 春日山城編2 【幸村】R18
「…るせーよ、俺の心臓…収まれよ…」
眉間にシワを寄せながらボソッと言った幸村の様子、何だか可愛い。
「大丈夫だよ。私だってドキドキしてる」
「…ん…そっか…」
大きな両手で耳や頰のあたりを包まれて、くいっと上向かされる。
そうして熱い視線から逃げられなくなると、もう一度口づけが落とされた。
今度は触れるだけではなく、舌先で唇をなぞられる。
「…ふぅ…ん…」
ゾクゾクして思わず声が漏れ、私の唇が緩むと、そのまま彼の舌先が入りこみ口づけが深くなっていく。
「……ん…んんっ…」
幸村の唇も舌も、すごく熱い。
熱を伴いながら激しく弄られ、私は次第にクラクラしてくる。
ようやく開放された時はもう崩れそうになっていて、私はぺたんと両手を後ろについて体勢を支えた。
「ほら」
幸村は両手を差しのべた。
一瞬ためらったのち、私が手を重ねると強い力でぐいっと引き上げられた。
「褥、行くぞ」
この部屋に来たときのように、手を引かれて連れて行かれる。
あんなに冷えていた大きな手は、すでに温かくなっていた。
向かい合って布団の上に座ると、急に恥ずかしくなってしまう。
二人の間に沈黙が降りてしばらく俯いていたら、幸村は私の髪から飾りを外した。
そして帯をぎこちない手つきで解いていき、着物のあわせに手をかける。
「今日の格好は綺麗だけど、何だか落ち着かねー。…俺はいつものお前のままがいい」
恥ずかしくて顔を上げられないまま、するりと着物と襦袢を肩から落とされた。
「い…やぁ」
胸元の肌をさらされ、思わず手で隠そうとしたら、先回りした幸村の両手がそれを封じる。
「やだ、やっぱ恥ずかしいよ…」
「あー…すっげーきれい…」
オレンジ色の光でよくわからないけど、幸村は顔を赤らめながら私をじっと見つめている。
半裸で、
両手を背中側でひとまとめに押さえられた格好で、
あんなにも熱い視線で。