第26章 五色の夜 春日山城編1 【兼続】
「夜のお誘いをされるかもしれない」
え?
‥‥‥‥‥‥
何?夜のお誘い?
「夜のお誘い?」
「‥‥夜の…お誘い…」
「武将たちから?」
「ああ‥‥」
「夜に何するの?」
「え…あの‥‥なんというか」
‥‥‥‥‥‥‥‥
恥ずかしそうで、言いづらそうな彼の様子から察する。
「それは絶対ないでしょー」
「冗談ではないんだ。君は2ヶ月間、ここになじむため色々と頑張ってきた。適応力と強メンタルに驚かされてる。そして今、武将たちは皆、君を認めてる」
「いやいや、そんなことないよ」
「だから君はきっと、夜のお誘いをされる」
「どうして?認めてるとどうして夜のお誘い、に?」
「現代とどうやら感覚が違うんだ。夜を共にするのは必ずしも恋仲とは限らない。親愛の情がある異性同士は、より理解を深めるため夜を共にする事があるようだ」
「‥‥‥‥え?」
「行為を通じて普段知らない面も見える。より絆が深まったりもする。特定の相手一人のみっていう概念が無いんだ。だからといって、もちろん誰でもいいってことではない」
‥‥‥‥‥‥
私は激しく混乱していた。
「そんなのって、いいの?」
「俺たちの感覚ではそれはない。だけどそうなんだ」
「断ったらどうなるの?」
「別に何も。ただ、おそらく君に拒絶されたと思うのかも」
まさかこんな話だとは思いもしなかった。
でも
でも
まさか
そんなの絶対ないでしょ!!
「もし、何も知らずにいきなりそんな誘いがあったら、感覚の相違から君が傷つくんじゃないか、って以前から心配だったんだ。俺は明日から遠出の任務があって、しばらく城を空ける。だからその前に言っておこうと思って」
「うん。ありがとう。色々と気を配ってくれて。認められてはいないし、誰からも何も誘われないよ」
「それならそれでいいんだけど、彼らは君をかってるから」
「ううん、私なんて…あっ!」
その時、私はハッとした。