第26章 五色の夜 春日山城編1 【兼続】
「どうした?」
「ねえ、それって女の人からもお誘いするの?」
「ああ、もちろん、それもある」
……と、いうことは、
私が兼続さんに『今夜お時間いただけますでしょうか』なんて、言ってしまったのは、そういう意味に取られてたってこと?
…だからあの反応
最初の微妙に話が噛み合わなかった感じ。
『お前の無知は危うい』と言ってたのは、そういうことだったのか。
色々と察してなおかつ心配してくれてたんだ。
ああ…もうやだ
恥ずかしい…
「今すぐワームホールに飛び込みたい…」
「名無しさん、どうかした?」
「ううん、なんでもない」
「じゃあすまない。変な話をして。これにて本当にドロン」
「あ、あ、ありがとう。おやすみなさい!」
佐助くんは驚異の身のこなしで天井裏に戻った。
「…名無しさん、一つ覚えておいてほしい。もし君がどんな選択をしても、俺が友達であることには変わらない」
「うん、ありがとう…」
佐助くんが去ったあとも、私はぼんやりと天井を見つめていた。
衝撃だけど、まさかね。
ありえないから、ま、いっか。