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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第26章 五色の夜 春日山城編1 【兼続】


数日経って、ようやく声をかけることができた。

「兼続さんっ!」

「何だ?」

切れ長の目でじっと見られ身がすくんだけれど、

「今夜、お時間いただけますでしょうか!」

勢いで言えた。

「っ!…夜…か?」

兼続さんに驚きの表情が浮かぶ。

クールな顔が崩れたとこ、初めて見た。

「はいっ!昼間はお忙しいと思いますので」

「最近、妙につきまとってきて、一体何を考えているのかと思えば…」

兼続さんは険しい面持ちでブツブツ言っていたけど、

「わかった…部屋に来い」

了承してくれた。

「良かったー!どうもありがとうございます!ずっと言えなくて」

「こ、こら…騒ぐな」

兼続さんは戸惑った様子で去ってしまった。

とりあえず良かった。

気合入れて勉強がんばろう。






その夜は、かなり強い風が吹き荒れていた。

「うわ…」

なぎ倒されてしまった庭の大木に衝撃を受けながら廊下を進む。

兼続さんの部屋に着き、襖を軽く叩くと

「…どうぞ」

と、声がした。

引き手に触れると横からの風に押されて

ズバンッッッ!!

ものすごい勢いで襖が開いた。

「兼続さんっ、こんばんは!」

ゴーゴー…

ビュービュー…

風で私の髪はボサボサに逆立ちひどい有りさま。

「何と面妖な…」

兼続さんは顔をひきつらせて呟くと、歩み寄って襖を閉めてくれた。

銀糸のような美しい髪を風になびかせたその姿は絵になり、なぜ私とこうも違うの?

「お邪魔します」

あれ?兼続さん、着流し姿なんだ。

いつものカッチリとした佇まいと違ってラフ。

そのギャップに色気がある。

オフモードの兼続さんなんて、レアだな。

無駄な物がない清潔でシンプルな部屋には、香の良いかおりが漂っていた。

って、余計なこと考えてないで、早く始めなきゃ。

そう思ったときに兼続さんが近づき、長い指でそっと私の髪の乱れを直し始めた。

え…距離が近い。

優しい触れ方といい、

少し目を細めた兼続さんの表情といい、

まとう雰囲気といい、

何だか色っぽい。

どうしよう、と私はアタフタしながら懐からハチマキを取り出し、頭にギュッと巻いた。

「何だそれは?」

「せっかくの機会なので気合をいれようと」

「…変わった趣向を持っているようだな…」

なぜか少しだけ、兼続さんの顔が赤くなる。
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