第25章 貴女を意のままに4 【三成】R18
初めて会った時から心を惹かれる存在だった。
未来から来たと言うのには、相当驚いたけれど。
世話係を命じられ、側にいられるのが嬉しかったし、守りたい、力になりたいと思った。
『どうか私のことは、三成とお呼びください』
『呼び捨ては…さすがに申し訳ないから、三成くんって呼ぶね』
そう呼ぶ人は他にはおらず、その呼び方も特別な気がして嬉しかった。
三成にとっては忘れられない日だったけれど、名無しもまた、その時からずっと好きでいてくれたなんて、夢にも思わなかった。
「石田様のどんなところがお好きなのですか?」
術師からまた唐突な質問をされ、名無しは少し戸惑うが、彼らの柔らかで静謐な雰囲気に何でも言えるような気がした。
好きな人の好きなところを話してみたくなった。
「優しいところ…。いつも大切にしてくれて、話してると楽しくて、一緒にいられて毎日本当に幸せです」
名無しは目を輝かせながら続ける。
「穏やかな笑顔も声も好き、ぴょこんって跳ねた寝癖も可愛いし、時々天然で、面白いところも好き…。だけど軍議の時は普段と全然違って、キリっとして格好良くて…ずるい…」
三成は呆然と名無しを見つめていた。
術師たちは笑顔で聞いている。
「頭が良くて、勉強熱心で、集中力があって尊敬してます。本を読むときの眼鏡姿も似合ってて、ずっと見てたくなる。紫水晶みたいに綺麗な目も、長いまつ毛も、すらっとして綺麗な指も、全部好き」
次々と紡ぎ出される言葉。
三成の思考は次第に追いつかなくなっていく。
名無しが自分をこんな風に見ているとは露知らず、驚きの連続だった。
「…何かごめんなさい…恥ずかしい…」
「名無し様…ありがとうございます。天にも昇る心地です」
不安や罪悪感など、三成の心にずっと浮かんでいた灰色の雲はすっかり消え去り、今の心持ちは一点の曇りも無く晴れ渡っている。
名無しからの愛を感じ、名無しへの愛がさらに溢れると、身体の中に揺るぎない芯が通ったようだった。
新しい力が湧き上がり、もっと強くなれる気がした。
「お二人を見ていると幸せな気持ちになります」
女性術師の言葉に男性術師も頷く。