第25章 貴女を意のままに4 【三成】R18
自分を嫌がってないか、疎ましく思っていないかは確認したけれど、まさか好きだなんて全く考えもしなかった。
目が合うとにっこり微笑んで
屈託なく話をして
無邪気に笑って…
それらの行動には、名無しの三成への想いがあらわれていたなんて。
『私は三成くんが好きです』
『だからこれからも…三成くんと一緒にいさせてください…。お願いします』
政宗、信長の前でそう言ったのも彼女の意思。
『…大好き…』
と頬を染めて恥ずかしそうに呟いたのも、
口づけをして身体に触れると、甘い嬌声を上げて肌も表情も色づいていったのも…
快感に溺れて乱れていったのも…
すべて、本物の感情によるもの…。
(ああ……)
名無しを抱く腕が震える。
目頭が熱くなり、わぁっと大声で叫びたかった。
「貴方から受け取った愛、そして貴方への愛、名無し様のお心は2つの愛に溢れて、とても健やかな状態です。それを確認し、先程、術を解きました」
「え…」
「次に目覚めた時、今までの暗示は消えています。ですが、暗示によって出来るようになった事はそのままですので、どうかご安心を。きっかけは消えても、克服した経験は確かな自信として残っています」
「……」
女性術師は赤い鈴を手に取り鳴らした。
凛とした涼やかな音が響き、まりあはそっと瞼を開いた。
「名無し様…」
「三成くん…」
術は本当に解かれているのか。
それでも本当に、自分を好きでいてくるのか。
身体を起こす名無しを支えながら、三成はまだ不安だった。
その時、再び鈴の音が響く。
先程とは音の高さが違う。
青い鈴によるもの。
だけどもう、名無しの様子に変化は無かった。
(やはり術は解かれている…)
「名無し様の思い人はどなたですか?」
唐突に術師はそう聞いた。
驚く三成をチラリと見てから、
「三成くんです…」
名無しは少し恥ずかしそうに答えた。
「いつから好きなのですか?」
「初めて会った時から…ずっとです」
三成の胸にあの日の記憶が広がり、紫色の瞳が揺れる。