第23章 貴女を意のままに2【三成】
力の抜けた身体を抱きしめてゆっくりと座り込みながら、三成は頭の中が欲望に侵食されていくのを感じていた。
もうどうなってもいい、そう思った。
「名無し様…どうか…他の誰かのものにならないで…貴女が…堪らなく好きだ…」
片手で身体を抱いて、もう片方の手で無垢な彼女の頬に触れながら思いを吐露する。
「私だけのもの…」
そう呟いて、先ほど政宗に奪われそうになった唇を奪う。
それで満たされる筈もなく、さらに煽り立てられた欲望の炎が強く燃え盛った。
「名無し様…目をあけて…」
三成の言葉通りにゆっくりと瞼を開いた名無しの肩を支えて、上半身を起こす。
「私の目を見て…」
(私だけを見て…)
彼女の瞳が三成の瞳にぴったりと据えられた。
その輝きは霞がかかったように淡い。
今の名無しはまるで操り人形のようだった。
「名無し様…私が…嫌…ですか…?」
最低限、それは確認しておかなければと思った。
政宗に心惹かれ始め、つき纏う自分を疎ましく感じていたら…?
そんな懸念からそう問うと、名無しは首を横に振り三成は安堵する。
(ならば……求めて欲しい…)
「名無し様が私に手を握られると安心して、抱きしめられると心地よくなるのは…私が好きだから…」
視線を合わせながら、三成は自分の中で決めていた禁忌をおかした。
それは彼女の為ではなく、三成の欲望を叶える為に暗示をかけること。
常に頭の隅から離れなかったが、絶対にしてはいけないと押し止めてきたのに。
「私のことが好きだから…口づけをすると…気持ち良くて…溺れてしまい…もっと欲しくなる…」
一度破った禁忌、開放した欲望はもう止まらない。
「名無し様、目を閉じて」
言われるがままに瞼を閉じた名無しの頰を両手で包んで引き寄せ、口づけをした。
柔らかい唇を舐めるとほんのりと甘い。
(これはきっと…政宗様の作った白い菓子の味)
悔しさにまかせて舌を這わせ、それを舐め取る。
「…んん…」
鼻から抜けた可愛い声とともに、ぴくりと名無しが肩を震わせ、結ばれていた唇が緩んだ。
人形のようだった彼女の突然の反応に驚く三成。
(名無し様は感じている…?暗示通りに…)
舌を口内に差し込んで、彼女の舌に絡ませてみる。