第23章 貴女を意のままに2【三成】
「…ふっ…ん…」
名無しは小さな甘い声を上げて、三成の着物をきゅっと掴んだ。
(可愛らしい…)
その反応に確かな手応えを感じて、三成は大胆になっていく。
艶めかしい水音を立てながら、激しく舌を絡ませ合った。
「んんっ…ふ…ぅ」
彼女の甘くて柔らかな口内を好きなように味わう。
唇を一旦離してから
「名無し様…気持ちいいですか…」
そう問うとこくんと頷いた彼女。
再び引き寄せて強く抱きしめ、すぐに舌で唇を割るとその口内は先程より熱かった。
口内だけでは無く、頬も火照っている。
三成の舌の愛撫に応じるように、名無しも舌を絡ませてくる。
『気持ち良くて溺れる』
そう暗示をかけたけれど、三成自身も溺れていった。
『もっと欲しくなる』
その暗示通りに求め合い、深く熱く、溶け合うような口づけを二人でひたすら貪った。
「はぁ…はぁ…」
終わりの見えない快感。
それを何とか押し止めて三成は唇を離す。
かけたい暗示がまだあった。
政宗と一緒に住むと言う話を名無しが断ること。
さらに、理由を聞かれた時は『まだ体調が十分では無く発作が起きるかもしれないから』と答えるよう誘導しておいた。
ここへ連れてくる為の『お館様が呼んでいる』という嘘も忘れさせた。
都合の悪いことはすべて排除できる。
(名無し様はもう、私の意のまま…)
もはや理性も罪悪感も麻痺し、愛しい名無しをとうとう手に入れた興奮が胸の中で滾って、叫びたい、駆け出したい気分だった。
だけど不思議とそれは表面に出る事は無い。
名無しの髪を優しく整えてから目覚めさせ、いつも通りに穏やかに微笑みながら彼女の手を取り連れて帰った。