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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第22章 貴女を意のままに1【三成】


「それが、名無し様の中ではあの事件は昇華しつつありました。石田様の支えのおかげでしょう。体は弱っていながらも心は回復しつつあり、別の気持ちが育っておられますよ」

「え…」

かなり意外だが、三成にとって嬉しい言葉だった。

「思考の整理はもう必要ありません。次の段階、健やかな行動への誘導に進む事にしました」

「今の意識状態は、被暗示性が高い状態でもあります。適切な暗示を与えれば名無し様は率直に受け入れ、出来なかった行動が取れるようになります。それを繰り返し、以前の名無し様に戻していくのです」

(暗示で行動を操る…という幻術の応用か…)

「まずはどんな暗示を与えたのですか?」

「いえ、まだです。それを石田様にしていただこうと思います」

「私が?!」

三成は驚き目をみはった。

「はい、今回の名無し様の場合、私たちよりも石田様の声で導く方が効果的だと判断しました」

「それは…なぜでしょうか?」

「名無し様の心と対話して、そう判断したのです」

二人は相変わらず柔らかい微笑みを崩さない。

はぐらかされたと感じたが、三成は次の説明に集中する事にした。

「まずは、睡眠を取れるようにしましょう。ここには名無し様の体や生命を脅かす存在はいない、安心してぐっすりと眠れる、疲れが取れ朝には気持ち良く目覚められる。そう暗示を与えて下さい」

「は…はい…」

責任重大、言葉を取り零さず全て頭に焼き付けなければと、三成は真剣に聞き入る。

「睡眠が取れれば体が回復していく。それを数日かけて確認したら、次は吐かずに食事が取れると誘導します。食事が取れればじきに体力が戻るでしょう。その次は一日の内の数刻、体を起こして過ごせると誘導。徐々に起きていられる時間を長くしていき、やがて部屋から出られるようにします」

「ですが、外に出ると何かのきっかけで再び怖い記憶が蘇り、名無し様に身体の震えや呼吸苦などの症状が起きるかもしれません。以前そのような事があり、またそうなるのを恐れているようで…」

三成はそれを強く懸念していた。

『息ができない…私どうなっちゃうの…死んじゃうの…?』

そう言いながらボロボロと涙を流し苦しんでいた名無し。
思い出しただけでも三成の胸はキリキリ痛む。
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