• テキストサイズ

イケメン戦国 書き散らかした妄想

第19章 託された花2 【家康】


ーーーーーーーーーー

謙信と佐助が家康の御殿を訪れ、既に家康と名無しが馬で発ったと聞いた後、

「上杉謙信様…恐れながら…」

と、女中頭に呼び止められた。

「何だ?」

その圧倒的な迫力に気圧されながらも、女中頭はここでの家康と名無しの様子を伝えた。

なかなか意識が戻らず、やがて熱を出した名無しを家康が的確に看病した事

目覚めた名無しが錯乱状態になり家康との接触を怖がり拒んだ事

家康はそれを受け入れ襖越しに何とか元気づけようとしていた事

「家康様は常に一線を引いて、姫様に接しておられました」

襖の外、廊下に置かれたままの文机。

それを見つめて状況を察しながら

「…わかった」

そう言って謙信は頷いた。

「礼を言う」

「勿体無いお言葉…」

女中頭は深く頭を下げた。

「さすが家康さん、俺の推し武将」

思わず言った佐助は、謙信の視線を感じて口をつぐんだ。

ーーーーーーーーーー




「この借りは必ず返す」

そう家康に言い、悠然と微笑む謙信の姿。

揺るがない強さを纏っていた。

「そんなのいいから…もう関わらないで」

(何これ…調子狂う…)

ばつの悪さを感じた家康はふいっと目をそらした。

「ん?」

その目線の先に、たまたま見えた姿、 

まだ遠くてはっきりしないが、この気配は…。

「…佐助…?」

馬の蹄の音と共に、気持ちいい位の速さでぐんぐんと近付いてくる。

「佐助くん!」

名無しは両手を大きく振って嬉しそうに叫んだ。

馬に乗った佐助が、両手にそれぞれ別の馬の手綱を握り、器用にも3頭を並走させながらやって来た。

「追いつけずすみません。謙信様の神がかった手綱捌きには敵わなくて…。ご無事で何よりです」

いつも通りの淡々とした口調で言ってから、佐助は馬を降りた。

「謙信様の馬を連れてきました。あともう一頭、たまたま見つけたんですが家康さんの馬ですか?」

「ありがとう」

名無しは馬に駆け寄り、そのたてがみを撫でた。

「家康さん、本当にありがとうございました。やはり貴方は思った通りの御方。さすがは俺が昔から尊敬する武将。家康さんに託して良かった」

「別に…お前に礼を言われる事じゃない…」

気まずくなった家康はまた目をそらす。
/ 392ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp