第18章 託された花1 【謙信】R18
「いっ……!」
『痛い』『嫌』、そう声に出しそうになるのを飲み込んだ。
謙信を拒む言葉を言ってはいけない…
名無しはそう思い、壁についた両手に額を押し当てて目をぎゅっと瞑り、濡れて無い性器への律動の痛みと身体がバラバラになりそうな衝撃に耐えた。
「はうっ……うぅっ!」
話をしなきゃ、
そう思っても唇から漏れるのは呻き声。
律動はますます激しくなり、互いの肌の当たる音が大きく響いた。
「うぅっ!!」
冷たい美貌を歪めながら、謙信は熱い滾りを名無しの中に吐き出す。
糸が切れた操り人形のように名無しは床に座り込んだ。
「はぁ…はぁ…」
両手で胸を押さえ、上がった息を整えようとしたが、すかさず謙信の両腕に抱き寄せられ、首筋に口づけを落とされる。
「いっ…」
『痛い』という言葉を名無しは再び飲み込む。
口づけという優しいものではなく、強く肌を吸いたてられ、電気が走ったような鋭い感覚が肌を刺す。
呼吸を制限される程にきつく抱きしめられながら、首筋、胸元、背中、腕…至る箇所にそれを繰り返された。
肌に散っていく、いくつもの赤い痕。
更に床に倒されて、腰や内腿、尻、ふくらはぎなど全身にピリッとした痛みと痕が刻まれていく。
それを見つめ焦ったように指先でなぞり確かめる謙信の表情は、歪んであまりに苦しそうなもの。
名無しはもう、何か言おうとは思わなかった。
(どうか…謙信様の…気の済むように…)
身体の力を抜き、身を任せた名無しの秘裂に、再び屹立したモノが一気に奥まで沈み込む。
「んぁっ……!!」
片手で口を塞ぎながら痛みに耐え続けた。
謙信が名無しを抱く時、いつもなら彼女の様子を気遣い、加減している。
壊してしまわないか、それが最も気がかりだった。
子兎に触れるように優しく可愛がり、反応を見て巧みに感じさせ、愛らしく乱れた姿を堪能する。
時に抑えきれず、激しくしてしまう事もあるけれど。
そして心も身体も繋がり合い、同じ感情や快楽を共有するのが至福。
だが今は制御不能。
いっそ壊してしまおうか、そんな風にまで思ってしまう。
せめぎ合う苦悩と激情のままに、めちゃくちゃに名無しを抱いた…。