第14章 一日奥方3 【三成】R18
翌日
「家康様!!」
その声は三成。
昨日の事は夢とはいえ生々しすぎて、三成を見ると非常に気分が悪い。
無視して通りすぎようとした。
それなのに三成は駆け寄ってきて、俺の手をがっしり握った。
「昨日は名無し様に本当にお世話になりました!おかげで私は立ち直る事ができました」
「‥‥‥‥いいからそういうの。名無しは大したことしてないって言ってるし」
ほんと、めんどくさい。
「いえいえ、名無し様に励まして頂き、これからも武将として生きる勇気を貰いました。そして、わかったのです。奥方様という存在は夫と一心同体。共に苦しみ、悩み、そして喜んでくれる。一緒にいるだけで、些細な事でも何倍も楽しくなる」
「‥‥」
「それを体験でき、十分に心が満たされた。だから早く、家康様にお返ししなければと思いました。夫婦は離れてはいけませんね」
‥‥意外。
三成がそこまで気を配るなんて。
邪気の無い笑顔を見ていたら、三成に対して今まで感じた事のない感情が湧き上がった。
「‥‥それで、お土産持たせて早く帰らせたのか‥‥‥‥。唐辛子煎餅‥‥‥‥おいしかったよ‥‥」
「お口に合い、本当に良かったです!」
まあ‥‥三成が元気になって‥‥
良かった‥‥‥‥かも。
‥‥‥‥ところが
「名無し様は私だけではなく、家臣や女中達にも優しく接しておられ、もしも名無し様が本当に奥方になって下さったら安泰だと皆口々に言っておりました」
ぴくり‥‥
俺は眉を寄せた。
三成の奴、やっぱり無神経だ。
「‥‥‥‥名無しには‥‥人参でも食わせとけって言ったんだけどな‥‥!」
「人参はとても体に良いと言われています。私を気遣い、提案されたのですね。ありがとうございます、家康様。苦手ですが頑張って食べます」
‥‥‥‥ああ、ほんと無理。