第12章 *File.12*(R18)
そして。
俺と雪乃にとって、今日から新たな人生が始まる。
萩、松田、班長。
今日やっと、雪乃と入籍することが出来るよ。
今まで、何時も傍で見守ってくれて有難う。
これからも雪乃と共に精一杯生きてみせるから、その時が来るまで、どうか宜しく頼むよ。
「零」
「どうした?」
絡めた指はそのままに、伸ばされた右の掌がゆっくりと頬を撫でる。
「抱いて」
「!!」
綺麗な笑顔に、一瞬で意識を奪われた。
普段の可愛いらしいものではなく、まるで女神のような美しさと、艶を含んだオンナの表情に。
「ダメ?」
「なわけがないだろう?」
直ぐに我に返ると、目の前の雪乃の華奢な身体をきつく抱き締める。
「幸せ過ぎて、おかしくなりそう」
「ああ。だから、今夜はこのまま狂ってしまえばいい」
幸福と言う名の、深く深く柔らかい暖かな場所で二人きり。
「でも、朝になったらちゃんと起こしてね」
「それはムリな相談だ」
「どうして?」
「眠る暇を与える自信がない」
「ふふっ。いいよ」
「心ゆくまで愛するよ」
「うん」
眉を寄せて少し困った表情にはなったものの、雪乃は確かにハッキリとそう頷いた。