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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第12章 *File.12*(R18)


「やっと、だな」
「うん」

日付けが変わる、一分前。
壁掛け時計にチラリと視線を移して、時刻を確認する。

「今日までこの日を待たせて、たくさん迷惑を掛けた」
「もういいの!降谷零が今誰よりも私の傍にいて、無事この日を迎えられた。それだけで私は幸せなんだから!」
「申し訳ございませんでした」
「零……私の方こそ、何時も迷惑ばかり掛けて、護ってもらってばかりでご…?」

背中に回していた腕を片方緩めると、雪乃の柔らかな唇に指先を当てて言葉を途中で遮った。

「雪乃が謝ることは何一つない。何時何処にいても、俺は雪乃の存在に支えられ護られて、生きて来られた。本当に有難う」

公安の仕事だからと景光と共に黒の組織の潜入捜査に入り、何年もの間一方的に待たせてしまったのは、俺だ。
それなのに、お前はたった一人で、ずっと俺と景光の身を案じ続けてくれていた。
俺がそうだったように、声も聞けない、逢えない毎日は辛くて淋しかっただろうし、勿論、俺に逢いたいと、触れたいと、抱き締めたいと思っていてくれただろう?

「…ズルい」
「嫌いになった、か?」
「バカ言わないで。私は零、貴方を世界で一番誰よりも愛してるの」
「有難う」

前髪を軽く避けて額にキスを一つ落としてから、ポケットに入れてあったケースを取り出すと、ゆっくりと蓋を開ける。
そこには大小二つ並んでキラリと光る、真新しい結婚指輪。

「唯一の心残りは、俺自身がお前を迎えに行けなかったことだけだ」

あのタイミングで雪乃に逢わせてくれた景光には、感謝してもしきれない。

「…怖かっ、た?」
「!」
「それは、私も同じだから」

明らかに変わった俺の表情を見て、少し困ったように笑う。

「お前を信じていなかったわけじゃない」
「うん。また、私を愛してくれるのかな?とか、他に誰か好きな人が出来たかもしれないとか色々考えたら、怖くて病院にお見舞いにも行けなかった」
「…風見か」
「降谷さんには口止めされたんですが、って、前置きしてから、零と景光が入院したその日に教えてくれたよ」
「ったく、減給モンだな」
「ふふ、ダメよ。彼にどれだけお世話になったと思ってるの」
「今回だけは、雪乃に免じて許してやる」
「融通が利かない上司は嫌われてよ?」


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