第11章 *File.11*
「?」
「どうかしましたか?」
ポケットの中のスマホが震えて、立ち止まった。
「!」
《男三人に尾行されてマス》
スマホを操作して、GPSで雪乃の現在地を調べる。
《直ぐに向かうが少し時間を要する。×××へ行けるか?》
《大丈夫》
《着いたらワン切りする》
《了解》
《くれぐれも無茶はするな》
《はーい》
「…危機感0か」
あのお転婆娘め。
一人を狙い尾行する=狙いは雪乃。
突発的な犯行ではない。
原因は雪乃本人か、はたまた俺か。
職業柄、見知らぬ敵が多いことはお互い十分に承知している。
「と言うことで、後は頼んだぞ。風見」
「…はい。お気をつけて」
「それは雪乃に言ってくれ」
「…ですね」
眼鏡の奥の細い目が、降谷さんも。と言っていたのは感じ取れたが、そこは知らぬフリをしておいた。