第9章 *File.9*
「でも雪乃さんの方が年上だし!」
「そこは年齢じゃなくて、中身の話でしょ」
「ハイハイ。安室さんも笑ってるし、キリないからやめなさいって」
「じゃあ、一番の姉御は美和子ってことで」
「賛成!」
由美が頷きなから、元気に手を挙げた。
「どうしてそうなるのよ!」
「異議ある人っ?」
「ないです!」
「ほら!三対一で、美和子に決定!」
「えーっ!」
美和子が不満をブツブツ言ってる間に、由美がカバンから財布を取り出した。
「お会計、お願いしまーす」
「もう済まされてますよ?そちらの方から」
出入口付近のレジの前で、店員さんの視線がゼロに向いた。
「「「えっ??」」」
「ありがと」
「どういたしまして」
ギョッとゼロを振り返る美和子達を他所に、私は真っ直ぐに彼を見上げて笑った。
「今日は雪乃のために、有難うございます」
「あ、いえ。ご馳走様でした?」
「はい」
「「ご馳走様でした」」
「どういたしまして」
ホントに抜け目のない、出来過ぎた男だこと。
そうして、私達は解散した。