第8章 *File.8*(R18)
「雪乃さん、発見!」
「…三池?」
交通課に用があって済ませたその帰り、背後を振り返ったら、スマホを握り締めた三池がやって来た。
なぁんか、嫌な予感。
「見ちゃいましたよー」
「!」
「ほら、さっき!」
「誰にも転送してないでしょうね?」
まーた、バッチリ撮られた!
それもしっかり抱き締められてるから!
「由美さんと佐藤さんには送りましたよ」
「!!」
ああ!
無邪気な顔して、何やっちゃってくれてんの!
「この方って、ポアロの?スーツ着ると、ガラッと雰囲気変わりますね」
「…だね」
それ、本職中です。
ああ見えて、スーツの下にはバッチリ拳銃を忍ばせてますよ?
「雪乃さん、今日は何か凄く疲れてません?」
「分かる?」
栄養ドリンク一本じゃ、持って昼までだわ。
「目の下に薄ら隈まで作って、動画サイトを見て夜更かしでもしたんですか?」
「そんな可愛らしい理由だったら、よかったんだけどねー。それからその写真、他の人に見せないでね」
「えーっ!せっかくキレイに撮れたのに~」
「うん。だから余計にやめて。恥ずかしいから!」
「雪乃さん、可愛い」
「褒めても何も出ないわよ?」
「そういうつもりじゃ…」
「知ってる。三池の方こそ可愛いわ。千葉も幸せ者ねえ」
「雪乃さん…」
「ふふっ」
頬を赤らめた、私と身長差がない三池の髪を撫でる。
友人だけど、実際に年下だから可愛い妹みたい。
「さて、戻りますか」
「はい!あ、雪乃さんの快気祝い、絶対しましょうね!」
「待ってまーす」
あー、そういえば、零にはまだ言ってなかったっけ?
三池に手を振りながら、首を捻った。