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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第8章 *File.8*(R18)


「悪かった」
「零は謝らなくていいの。私が勝手に願い祈っていただけだから……きゃっ」
「お前に心配をかけてずっと不安にさせてたのは、この俺だ。それは変わりない」

雪乃を抱き締めてから身体を倒すと、そのまま俺の上に倒れ込んで来る。

「過去のことは、もういい加減に精算しないとね」
「今は?」
「もしかしたら、何時かは、の覚悟は出来てる」
「ああ」
「だから、それはそれでいいの」

これ以上、どれだけ考えたところで、未来は誰にも分からない。

「それとも……」
「?」
「警察官辞めて私立探偵しながら、ポアロの跡継ぎをする?」
「それはそれでいいかもな」

茶目っ気を帯びた口調で笑うから、俺も思わずふっと笑う。

「きっと、楽しいよ」
「そうだな。将来の選択肢として、考えておく」
「零の存在は……」
「ん?」
「どんな時だって、私の全てだから、わっ!っん!」

クルリと身体を回転させて、雪乃をソファに縫い止めると重ねた唇。
これ以上、嬉しいことを言われたら、おかしくなる。

「煽ってるのか?」
「煽ってません!」
「今決めた。朝まで寝かせない」
「あ、明日も仕事!」
「心配するな、俺もだ」

焦る雪乃を問答無用で抱き上げて部屋の明かりを消すと、寝室へ向かう。

「ほ、本気?」
「当たり前」
「……零」
「そんな可愛い顔を見せられたら、俺を煽る材料が増えるだけだ」
「えっ?」
「もう、諦めろ」

ベッドにゆっくりと下ろすなり、雪乃の上に跨ると深く口付けた。


「雪乃」
「……ん?」

長く深いキスの後、力が抜けたまま、ゆっくりと瞼を開く。
左手は雪乃の手と重ねたままだから、右手でそっと頬を撫でると、ふわりと微笑む。

「愛してる」
「私も」

結局、雪乃は何時だってどんな俺も受け入れてくれる。それが分かってるから、強引にでも抱いてしまう。
だが、きっとそれさえも雪乃には伝わっているから、甘えてしまうんだ。

「何か、考えごと?」
「俺はキミには敵わないってことだ」
「……どの辺が?」
「分からないままでいい」

雪乃、お前はずっと今のままでいてくれ。
時間と共に、姿形はお互いに変わるだろう。


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