第7章 *File.7*
「捜一で良かったのよ。陣平と班長と、同じ時間を過ごせたから」
例え、それが一週間でも一年と少しの短い時間であったとしても、か。
「そう、だな」
「萩、陣平、班長に助けられた分も幸せにならなきゃ、ね?」
「俺が、雪乃をもっと幸せにしてみせるよ」
「うん」
コクリと頷いた後、綺麗な笑顔を見せた雪乃に触れるだけのキスをする。
「約束だ」
「この先、ずっと、ずっとよ?」
「もちろん」
何時の日か、死が二人を別つとも。
この魂がある限り…。
お前が嫌だと言っても。
俺から逃げたいと言っても。
もう二度と離しはしない。
これからは今まで離れていた時間の分も、存分に楽しませて、甘やかして、愛し尽くすよ。
だから、誰よりも俺の傍で笑っていて欲しい。
それがたった一つの、ずっと変わらない俺の願いなんだ。
「私も、零を幸せにする」
「…ああ」
お前のその願いは、もうとっくに叶っているよ。
雪乃、お前が俺の傍で優しく笑ってくれたら、それだけで。
俺の心は癒され、満たされる。
そして、何にも負けはしない。
どんな困難や窮地に陥ったとしても、正々堂々と胸を張って立ち向かっていける。
例えこの身に何があったとしても、俺を待つお前の元へと必ず帰るんだと、強くなれる。
雪乃、お前が生きている限り。
「零、愛してる」
「愛してるよ、雪乃」
どちらともなく唇を重ねると、そのまま深く深く愛し合った。
長い夜が明けても、太陽が空高い位置に昇るまで。
一人きりで過ごした淋しい夜を、
二人の幸せな時間に全て塗り替えるかのように。