第7章 *File.7*
二人の手料理は、やっぱりめっちゃ美味しかったし!
オマケに景光が連絡して、高兄を呼んでくれた。
それだけでも、十分嬉しかったのに。
「わっ」
いきなりギュッと抱き締められた。
此処は外だけど、大丈夫なの?
「本当の一番の理由は、俺がお前の傍にいたいから。これ以上、雪乃と離れるのは俺が耐えられない」
耳元で吐き出されたのは、普段は滅多に聞くことが出来ない、零の本音。
偶然とは言え、私が撃たれた後のあの現場を零も景光も見たんだと、景光から聞いた。
喫茶ポアロの店員兼私立探偵の安室透としてウチの捜査一課には面が割れているから、公安警察官の降谷零としての捜査中では、表立って動くことが出来なかった。
そんな零の代わりに、景光が美和子と共に救急車に乗り込んでくれたことも。
この出来事が、零のその想いに拍車をかけてしまった。
きっと、悪い意味で…。
「有難う、零」
感謝してもしきれない。
「……いいのか?」
「何が?」
訊ね返さなくても、聞きたいことは分かってる。
「生涯の伴侶が、俺で」
「私に零、貴方以外の誰を選べって言うの?私をこんなにも愛してくれるのはこの世界でたった一人、零しかいない。そうでしょう?」
この先、何があるのか分からない。
そんな危うい仕事をしているのも、お互い承知の上でしょう?
それでも貴方は、私を選んでくれた。
私にとってこれ以上の幸せが、何処にあるの?
真っ直ぐに、零のキレイな瞳を見上げる。
「それにね」
「?」
「約束したから。零と幸せになる。何があっても、絶対に零を手放さないって」
「……誰と?」
眉間に皺を寄せて、検討はついたでしょ?
景光もいた時この話はしなかったけど、まだ続きがあるのよ?
死んだって、忘れない。
私達三人への、彼らの想いと願いは…。
「陣ぺ、んっ…」
返事は猛獣のような口付けによって、遮られてしまいました。