第7章 *File.7*
蘭さんの言葉に、赤井の妹がそう続ける。
「?」
「なるほど。この笑顔はそういう意味か~」
園子さんも写真を覗き込みながら、大きく頷いた。
「安室さんにしか撮れない写真ってことですよ!他の人が撮っても、きっと雪乃さんのこんな可愛い笑顔は撮れませんから!」
「有難うございます」
恐るべし、JK。
雪乃の隣に写っていたのが景光、ってのもあるんだろうけどね。
「もしかして彼女、入院してるのか?」
「「に、入院?!」」
「何故です?」
「理由その一は刑事とは言え、アンタがいるのに此処にひと月は来てない。理由その二は写真加工中のアンタの表情。理由その三はほら、こないだニュースになってただろ?刑事が一人撃たれて、意識不明の重体って話。時期が一致するよ」
「まさか!」
「そんなワケ、ないですよね?」
じっと鋭い目付きで俺を観察する赤井の妹、驚いた顔の園子さん、今にも泣き出しそうな顔の蘭さん。
これ以上、隠し通すのはムリ、か。
「ええ。あの日、犯人に撃たれたのは雪乃です」
「「!!」」
園子さんと蘭さんが顔を見合わせて、青ざめさせた。
血塗れになった、雪乃の姿をまた鮮明に思い出す。
「幸い翌日の朝方に雪乃の意識は戻り、今は順調に快復してますから、もう心配はいりませんよ」
「もしかして、雪乃さん自身が口止めされてたんですか?」
「そういうわけではありませんので、そこは気になさらなくても大丈夫です」
まあ、君の彼氏は、入院当初から知ってはいますが。
「お見舞いに行っても?」
「是非」
銃創部以外は至って健康だから、喜ぶだろう。
まだ思うように身動きが取れないのでヒマを持て余し、今はひたすら読書に励んでいる。
その本の提供者が工藤君だ。
「じゃあ、明日早速行く?」
「ボクも行っていいのか?」
「全然大丈夫っしょ!」
入院先の病院と部屋番号を教えると、三人でまたはしゃぎ出す。
ヤレヤレ。
後で、雪乃に伝えておくか。
彼女の笑顔を思い出しながら、カウンターへと戻ることにした。