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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第7章 *File.7*


コンコン

「君は一体何処から見舞いに来るんですか?」
「悪ぃな、公安のお兄さん」

深いため息交じりに窓を開けば、不敵な表情をした怪盗キッドがスルリと音も無しに病室に入り込んだ。

「やっほー」
「じゃねぇよ、直ぐに連絡ぐらいしろっての!」
「いひゃい」

白い手袋を取ると、まだ身動きが取れずにベッドに横たわって暢気にヒラヒラと手を振る雪乃の頬を軽く抓る。

「ったく」

どっちが年上なんだか。

「で、何故その格好なんですか?」
「オレも日中は本職が忙しいんですよ、降谷零さん?」
「現役高校生でしたね、黒羽快斗君」
「警察庁公安捜査員の多忙さには負けますが」
「全く中森警部も呑気なことだ」

振り返りざまに唇を釣り上げる様は、紳士そのもの。

「喧嘩は他所でやってねー」
「「……」」

天下無敵の女刑事には、敵わないな。

「腹を撃たれたって?」
「まあねー。一発で済んでよかったけど」
「そういう問題じゃねぇての!」
「すみません」
「クッ、ククク」

しょぼくれた雪乃を見て、キッドは吹き出して笑う。

「?」
「悪りぃ。もう周りに散々怒られただろ?」
「…うん」
「雪乃はよく頑張った。仲間の命を守ったんだからな!」
「……」
「けど…」

彼の明るい表情が一転する。

「快斗?」
「もう二度とこんな無茶はしねぇって、約束」
「…うん。約束ね」

差し出された小指に、雪乃はまるで実の姉のように優しく笑って自分の小指を絡めた。

「雪乃が刑事やってる限り、命張ってんのは分かってる。それでも…」
「ありがとね、快斗。じゃあ、約束して」
「オレ?」

姿形は怪盗キッドなのに、雪乃の前では至って普通の高校生だ。

「そう。怪盗キッドに約束して欲しいことがあるの」
「貴女の望みなら、何なりと」

スッと腰を折って、一礼する。

「絶対に命に関わるような、無茶をしないって」
「それはまた、無理難題を」
「ふふっ。でも約束」
「出来る限り最大限の努力をいたします。大切な雪乃、貴女の願いですから」



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