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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第7章 *File.7*


「まあ散々色々とやらかしたから、ゼロはバチが当たっちまったのかもな」
「たまには心配する側になってみろ、ってか?」
「それは言われても仕方ねぇな。擁護のしようがねえ」
「散々、色々?」

萩が意味深にウインクするから、首を傾げる。

「先ずは、雪乃を散々待たせたし?」

萩がニヤニヤ笑う。

「組織内でNOCの疑いがかかって殺されかけて、その命の恩人と夜の観覧車の上でまさかの本気の殴り合い。それも喧嘩売ったのはゼロの方だ。後は火を吹く車からチビを抱えてぶっ飛んで左腕に大怪我、爆破テロの所為で、危うく爆死しかけたこともあったな」
「観覧車の爆弾解除は、素直に褒めてやるけどな」
「……」

ゼロが喧嘩を売るのは赤井さんしかいないし、チビは恐らくコナン君だよね?
でもどういう状況で、そんな色々知ってんの?

「深く考えんなって。その辺のことは俺ら自身もよく分かってねぇから」
「そうなの?」
「はい。そうなの」

陣平の言葉を肯定しながら、萩が穏やかな笑顔を見せた。


「おっ」
「時間切れみたいだな」
「…もう?」

三人が顔を見合わせて、私の顔を覗き込んだ。
私の身体が徐々に透け始めたのだ。
開いた掌の肌の色が、輪郭がゆっくりと消えなくなって行く。

「雪乃はいい女だよ。だから、何時も笑ってな」
「ゼロには勿体ねぇ!」
「陣平ちゃん。それ、マジで言ってる?」

ギョッとして、萩が陣平を見つめた。

「…っ」

ついさっき乾いたばかりなのにまた、涙で視界がぼやける。
短い間だったけど、笑って泣いて怒って励まし合って助け合った、警察学校で過ごしたあの時間は、6人だけの宝物。
まだまだ話したいことがあるのに、まだまだ傍にいたいのに、何時も時間だけは待ってくれない。

『雪乃』

不意に聞こえた、私を呼ぶ声にハッとして、顔を上げた。
聞き間違えるはずがない。

「ゼロの奴、呼んでるな」
「早く帰ってやらなきゃ。諸伏も待ってる」
「俺達は大丈夫だから、な?」
「…うん」

コクリと頷くと、陣平と萩と班長の満足気な笑顔があった。


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