第7章 *File.7*
此処は?
ふと意識が浮上して目を開けたら、一人ポツンと立っていた。
周囲には壁も景色も何も無い、誰もいない、音も一切しない、ただ辺り一面真っ白の世界に。
で、私にどうしろと?
さすがの私も何をしたらいいのか、何処に向かって歩いていいのかさえも分からず、とりあえずこの場所にとどまることにした。
迷った時は動くな!
そう、幼い頃に経験して学んだ通り、一歩も動くことなく。
開いたばかりの瞼を、もう一度伏せた。
こうなる前、一体何があったっけ?
「あー、ね」
しばらくして、自分が拳銃で撃たれる嫌なシーンと激しい痛みを思い出しバチッと目を開けたら、びっくらこいた!
「うおっ!」
「雪乃っ?!」
「マジか?」
私は囲まれていた。
何の前触れも無しに、ある日突然逝ってしまった三人に。
もう二度と逢えないんだと、楽しき時間は戻って来ないんだと、泣き腫らした日々が一瞬にして蘇る。
「お前、どっから沸いて出た?」
「そんなの、こっちが聞きたいよ!」
叫ぶように言うと、目の前の陣平に抱き付いて泣いた。
もう泣くレベルじゃなくて、わんわんと声を上げて。
それはまるで、幼子のように。
「陣平ちゃん、ゼロにどやされるんじゃね?」
「不可抗力だろよ」
「のわりに、しっかり腰に腕回してるけどな」
しばらく泣いて落ち着くと、最後に会ったままの彼らがあの頃のように、直ぐ傍で笑っていた。
「元気そうだな」
「のハズ、だったんだけど」
「腹撃たれたら、確かに元気とは言えねぇわ」
「でしょ?」
私自身を含め、四つの視線が私の腹部へと集まった。
「痛みは?」
「全くない。心配してくれてありがとね、班長」
「ったく、何時までお前らの班長だよ」
「「「一生!」」」
ニッと笑った萩と陣平と私の、元気な声がハモった。
「あのな」
少し不服そうにしながらも、班長は私の髪を撫でた。
「せっかく俺達がゼロにハッパかけてやったのに、雪乃も撃たれてんじゃねぇっうの」
「それはゼロじゃなくて諸伏に、だろう」
「えっ?」
いきなり話題がそっちになるの?
陣平ちゃんよ。
撃たれたのは、私の所為ですか?ってか、そうだったの?景光?
だから、誕生日にあんな計画を?
だってポアロに行くまでは、景光とごく普通のデートしてたもん。