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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第25章 *File.25*外伝*高校生編*


「先程、父と母が此処に来ていたようです」
「「!」」

開口一番の言葉に、思わず景光と顔を見合わせた。
表彰式の後、お手洗、と二人でこっそり抜けて、高兄と再会した。

「?」
「えっ?高兄も会えたの?」
「も、ということは、雪乃も会えたんですか?」
「んー、会えたって言うか、最後の矢を射た時に二人の声を聞いたの」
「私もちょうどその時ですね。雪乃に寄り添う二人の姿を確かにこの目で見ましたから。こちらを見て、微笑んでいましたよ」
「……」
「こんなことは初めてなので、とても驚きました」
「オレだけ見てない…」
「景光が気付かなかっただけで、あの時、絶対に傍にいてくれたはずだよ」
「ええ」
「それって、全然嬉しくないやつだから!」

珍しく拗ねた景光の頬が、ぷぅと膨れる。

「くっ」
「ぷっ」

童顔もあって、すっかり幼い頃のような表情に、高兄と吹き出して笑った。

「二人共狡い」
「「私に言われても」」

ね?
と、高兄と頷く。

「可愛いイケメンが台無しよ、景光」
「ムッ」
「では、これで我慢して下さい」
「?」

プイと背けた顔が戻ると、高兄は穏やかな表情でポンポンと景光の髪を撫でた。

「よく頑張りました。優勝おめでとう、景光」
「!」

今度は恥ずかしくなって照れたのか、赤くなった顔をプイと背ける。

「何時まで経っても子供っぽい性格は変わりませんね、二人共」
「兄さん…」
「私と景光はもう18歳よ!」
「はいはい。そういうことにしておきましょうか」
「もう!」
「…雪乃」
「ん?」
「優勝おめでとう」
「うん!ありがと」
「おや。残念ですが、そろそろ時間のようです」

腕時計を見遣ると、小さく頷く。

「えーっ」
「また、会いに行きますよ」

高兄は優しく笑いながら、私の髪を撫でた。

「ホントに?」
「来月の彼岸には、また会えるよ」

お盆は日本中が帰省ラッシュになるので、それを避けて長野に帰るようにしている。
それに学生の間は、こうして部活の面で私と景光も忙しい。

「そうですね。来る時にはまた、事前に連絡を下さい」
「分かった」
「もう帰るの?」
「ええ。明日は仕事なので、夕方の便で」
「気をつけてね」
「はい。雪乃と景光も」

三人揃って、笑顔で別れを告げた。
また直ぐに会えると、約束を交わして。


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