第25章 *File.25*外伝*高校生編*
「おかえり!ただいま!おめでとう!!」
「ぶっ」
待ち合わせ場所である近くの夕方の公園でそう言いながら、久々に逢えたゼロに駆け寄るなり抱き着いた。
「何で笑うの?」
「まさか、一度に全部言われるとは思わないだろ」
頭上で、笑いながらの返答がある。
「ふふっ」
「雪乃らしいけど」
「それからお疲れ様、だね」
「ああ。雪乃も優勝おめでとう」
「うん」
今度は、近い場所で視線を合わせて。
「……雪乃」
「うん?」
「キス、したい」
「…いいよ」
蒼い瞳に熱情が交じるのを見届けた後、ゆっくりと瞼を閉じた。
「…あー、我慢すればよかった」
止まったままの隣のブランコから、深いため息が一つ。
「…また、今度」
キスの続き、は。
「今度って、何時だ?」
遠回しにやんわりと告げれば、俯き加減だったゼロの顔がキッと勢い良く上がる。
「えっ?そんなにっ?」
「ああ。そんなに」
「そっ、即答しなくていい!」
真剣な顔して、どうして深刻そうに頷いてんの!?
「一日中シたい」
「それ!こっ、高校生が言うセリフじゃないから!」
明らかに色気が含まれた声音に、バクンッと心が素直に跳ねた。
「本心だ」
「はい?」
「嫌か?」
「…一応お訊ねしますが、一体何が?」
「俺に抱かれるのが」
「!!」
躊躇うことなく、ハッキリキッパリと言い切りましたよ、このイケメン!
アナタまだ高校生なのに、何でそんな大人びた発言をサラッとするんですか?!
「返事は?」
「…い、嫌じゃない、デス」
寧ろ、コイビトに求められて、喜ばないオンナなんていないと思いますヨ?
だってゼロは、私の全てを愛してくれる。
カラダだけじゃなく、ココロも伴った上で。