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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第25章 *File.25*外伝*高校生編*


「……」

予選と準決勝をあっさり突破して迎えた、男子個人決勝戦。
何時見ても、我が兄ながら素敵だわ。
高兄もそうだけど、お坊ちゃま。な、性格では全くないのに、立ち姿や振る舞いに品があってキレイ。
写真に収めたいワンシーン。
弓を構える景光だけが、一枚の絵画みたい。
リラックスして、完全に通常モード。
ある意味、鋼(はがね)の精神力の持ち主よね。
さすが、だわ。
やる時はトコトンやり尽くす。
誰になんて言われようと、自分が納得するまで何度でも。
どれだけの時間を掛けてでも。
その性格は、幼い頃から何も変わらない。
会場内さえもシンと静まり返った中、最後の一射が終わり、景光が丁寧にお礼をした。
最後に放った矢は当たり前のように中心のすぐ側に射て、皆中。
拍手喝采だ。

「私も負けてらんない」

たった今個人戦を見事に制し優勝をした、兄には。
さぁて。
私もいっちょ、やりますか!



「フゥ」

何時まで緊張してんの!
大丈夫。
景光も高兄も、此処にいる。
ゼロも今頑張ってる。
今頑張らないで、何時頑張るの!
瞼を閉じて深呼吸をすると、目を開いた。
真っ直ぐに的の中心を見遣り、弓を構える。

「……」

あれ?
この会場、こんなに静かだったっけ?
何故か不意に突然周囲の音と景色がキレイサッパリ消え去って、この目に映るのは、正面の遠く離れた場所にある小さな的の中心だけ。
ううん。
今は何も考えるな!
見据えるは的だけだ!

「!」

そして弓を放った次の瞬間、ハッとした。

「「雪乃」」

不意に名前を呼ばれたと同時に、ふわりと温かな何かが頬にそっと触れたから。
それは間違いなく。
確かに。
深い愛情が込められた、柔らかで優しい二人の声と共に。



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