第24章 ＊File.24＊

｢ギャフンと言わせたい｣
｢…ギャフンって、何？｣
｢でもそうなると、後々面倒臭いかなー｣
｢まあ、分からなくもないけど｣
｢私は辞めるまで、景光の下から動かないからね｣
｢うーん｣
｢景光の下を離れることがあったら、もう警察を辞める｣
｢…じゃあ、ゼロの下は？｣
｢えっ？さすがにその選択肢はないでしょ？｣
｢いや、十分に有り得る話だろう？｣
｢ナイナイってか、余計に嫌だわ。今以上に足でまといにしかならないじゃん｣

夫婦揃って、警察庁公安？
いやいやいや、ナイナイ。
いえ、その前にそれはイヤだ。
それとも、風見の代理？
うーん。
それはそれで…ねえ？

｢辞められるのか？｣
｢ゼロは反対しないよ｣
｢雪乃の気持ちは？｣
｢どうせなら、ギャフンと言わせてから辞めたい｣
｢で、話はそこに戻る、と｣

景光が呆れた顔でため息を洩らす。

｢あまえではあるけど、此処で景光が傍にいてくれるなら、捜一に戻れるのなら、まだ辞めない｣
｢いいよ、オレとゼロにはあまえてくれて。いや、違うな。正しくは、離れていた時間の分だけ、雪乃を存分にあまやかしたい、だな｣
｢…バカ｣

シスコンに、あまあま全開じゃん！
昼休みの屋上で隣りに立つ景光に、コツンと頭を寄せてもたれた。
そういう私もブラコン全開だけど、さ。
公安部は敵だらけ。
あっちがその気なら、こっちもそのつもりで行かせてもらいます！
元刑事部捜査一課をナメんなよ！！

｢闘争心も程々に｣

隣から大きな掌がポンと頭に置かれ、同時に発せられた声は絡み合った視線と共にやっぱり呆れていた。

｢あら、バレバレ？｣
｢もう、バレバレ｣

一瞬間が空いた後、私と景光は同じタイミングで声を出して笑った。