第24章 *File.24*
「あ、それはこっち」
「なるほど」
「このデータは何処から?」
「これを参考にしたんですが、古いデータしかなくて」
机に重ねて置いてあった書類の中から、該当する書類を引き抜く。
「ちょっと待ってて」
「はーい」
景光は自分のデスクへ行くと、ノートパソコンを立ち上げている。
一切無駄がないから、景光の説明はホント分かりやすい。
調理師の他に、景光は教職にも向いてると思うよ?
でも教職員になったら、景光は優しいから女生徒からモテすぎて、やっぱり困るねー。
ふふっ、子供の頃みたい。
テスト前や受験前に苦手な教科は、こうして景光に丁寧に何度も教えてもらってたなー。
「っ!」
首を左右に曲げるとボキッと派手な音が鳴って、痛みはなかったけれど、思わず首を押さえてしまった。
「この最新データと、これはそっちの資料」
「有難うこざいます。助かります」
「その書類の手本はこれ。急がないから後でいいよ」
「はい」
と、手渡された書類を引き出しに入れておく。
「これは?」
「それで大丈夫。あ、それは違うな」
「ん?どれですか?」
「これ」
景光はパソコンの画面を指さした。
そういや…。
「「……」」
こうして同じ職場で二人で仕事するのって、初めてだよね?
視線が合った瞬間、互いに同じタイミングで同じことを考えた。
「想像以上に…」
「うん」
仕事がしやすくて、捗る。