第4章 *File.4*
「きゃーっ」
やら、
「えーっ?!」
と、狭い店内に複数の衝撃的な高い悲鳴が聞こえた。のは、きっと気の所為ではないはずだ。
間違えるはずがない温もり、包み込む腕の力強さに、スーッと心が凪いてゆく。
「…ゼ、ロ?」
「お前の泣き顔を見てもいいのは、俺だけだ」
ねぇ?
一体何処から何処までが、貴方に仕組まれたモノなの?
離れていた時よりも、傍にいる時間が増えれば増えるだけもっともっと好きになる。
頭と心が追いつかないぐらいに、ゼロしか見えなくなる。
もう両手を挙げて全面的に降参します、ハイ。
「ふふ。泣かせた本人が何言ってんだか」
「だから、ちゃんと責任を取ってる」
離した右手の指先は躊躇うことなく、少しだけ濡れた目元を拭いてくれた。
「…いいの?」
「構わないさ。俺には、雪乃以上に大切なモノは何も無い」
「ホント、困った人ね」
どれだけの優しさで、私を包み込んでくれるの?
どれだけの愛情を、私に注ぎ与えてくれるの?
何時も。
どんな時も。
何一つ変わらずに。
「お互い様だ」
誰にも聞こえないように囁くように会話をした後にあったのは、互いの柔らかな笑顔だった。