第24章 *File.24*
「お嬢!何で今まで黙ってた!」
二人との話が落ち着いたところで、何時ものメンバーが間を置かずにわらわらとやって来る。
「すみません」
苦笑いになると、彼らも押し黙ってしまった。
「しかし、よりによって、公安か」
「ですよねー。冗談抜きでマジで勘弁して欲しいです」
「……負けるなよ」
「はい」
真っ直ぐに視線を合わせて、大きく頷いた。
ただ、自信はありませんよ?
公安には景光と風見がいることだけが、安心要素なので。
辞令が来た瞬間から、未知の領域に不安と心配しかない。
「何時でも戻って来い」
「そう言っていただけるのはとても嬉しいのですが、直ぐに戻って来れるぐらいなら、そもそも行きたくなんかないです」
たかだか階級が警部である下っ端に、拒否権も何もないわけですよ。
出世なんか、一切望んでなんかないのに!
捜査一課に戻せと嘆願書を提出したところで、即却下されるのは目に見えてる。
上司であるあの管理官の手に渡った時点で、即座に破り捨てられるのが関の山。
言い出しっぺは誰よ?!
まさか黒田管理官、貴方じゃないでしょうね?!
「「確かに」」
「お前なら、乗り越えられる。今までだって、いろんなことを経験して、大丈夫だっただろう?」
「それは…先輩方がいてくれたから。何があっても見捨てずにずっと傍で支えて、見守ってくれたから、です」
「「お嬢…」」
何時もの威厳は何処へやら。
貴方達が目をうるうるさせないで下さい。
「別れの言葉は言いませんから」
「「ああ」」
「それでいい。捜一であろうと公安であろうと、おれ達が同じ警視庁の警察官であることには、何も変わりは無いんだからな」
「はい!」
大きく頷いて笑って見せたら、ポンと髪を撫でられた。
みんながみんな、とても優しい眼差しで。
「ほら、行くぞ」
「はい!」
そうして、私は警視庁捜査一課の一員としての、最後の日を迎えた。