第24章 *File.24*
「あー、突然だが」
『……』
本日一月三十一日、午前九時。
目暮警部の声に、普段と変わらずザワついていた朝イチの捜査一課強行犯三係が静まり返った。
「明日、二月一日付で、望月君がウチから異動する事になった」
『!!』
目暮警部の言葉に、室内にいる全員の視線が一斉に突き刺さる。
「……異動先は何処、ですか?」
感情を抑えた、美和子の声が室内に響いた。
「…警視庁、公安部だ」
すみません、目暮警部。
最後の最後に、嫌な役目を押し付けて。
『こっ、公安っ?!』
「……」
すみません、今日の今日まで黙ってて。
「雪乃さん、これは一体どういうことなのっ?!」
「私に言われてもねー。先日、管理官から直々にお達しがありまして」
本当は年が明ける前、ですが。
「…まさか、雪乃さんが望んだワケじゃ?」
「あるわけないでしょ!そんなこと!」
「ですよね」
強い口調で言い返したら、高木が少し安心したように笑う。
「理由は聞いたの?」
「彼の仕事が落ち着いたのと、結婚した、から?」
「「……」」
「後ねー、実はさ」
警察学校時代に勧誘を受けていたことも、コソコソと話す。
「「……」」
「ったく、今更何言ってくれてんの?でしょ?」
「もしかして…」
「あの二人もそう。萩と陣平もね」
「って、爆処ですか?」
「みんな揃って優秀だったのよー。もちろん伊達もよ」
「「……」」
笑ってウインクして見せると、美和子と高木が顔を見合わて、黙り込んだ。