第23章 *File.23*
『今日の予定は?』
「特にはないけど、何かあったの?」
『久々に出掛けないか?』
「って、二人で?」
『ああ』
「少し時間くれる?」
『慌てなくていいよ。ランチに間に合えばいい』
「じゃあ、10時半で」
『了解』
「お店は任せていい?」
『雪乃に任せたら、何時まで経っても決まらないからな』
「そういうこと」
『10時半に、下の駐車場で待ってるから』
「はーい」
『じゃあ、また後で』
「おはよう」
「おはよ」
「……」
「どうかした?」
「また、キレイになったな」
「へっ?」
「毎日変わらずゼロに愛されてる証拠、か」
地下駐車場の普段はゼロが停めているスペースに停めてまもなく、雪乃が助手席に乗り込んだ。
「えっ?」
「自覚はナシ?」
「そっ、そんなことはないけど…急にどうしたの?」
「改めて、我が妹は可愛いな、と」
「何言ってんのー。最近男前に更に磨きがかかった我が兄も、とってもステキですよ」
「有難う」
ポンと髪を撫でると、雪乃は幼い表情でニッコリ笑った。