第22章 *File.22*
「男前じゃの」
「ええ。仕事中は特に」
「望月刑事、カッコイイー!」
「……」
雪乃、キミのファンも確実に増えているみたいだぞ?
それこそ、老若男女問わずにね。
刑事という職業柄、目に見えぬ敵も多いが、その分、キミにはたくさんの味方もいるよ。
「夫婦揃って、モテモテですねー」
「いいのやら、悪いのやら」
「安室さんも誰かに嫉妬したりするんですか?」
「そりゃ、しますよ」
「えっ?そうなんですかっ?!」
そんな物凄く驚かれても、
「僕は至って普通の男ですからね」
雪乃のことに関しては、ね。
「それは違うと思いますー」
「……」
何故、そんな不満気な表情で即答なんですか?
「うん!だって、安室さんはすっごくイケメンだし!」
「何でもスマートにやってみせますし」
「推理だって、何時も毛利のおっちゃんより、すっげーじゃん」
梓さんの言葉に、子供達の言葉が続く。
「有難うございます。お褒めに預かり光栄です」
安室透としての笑顔を向けてから、窓の外を見遣る。
何事も無く、今夜も元気に帰って来い。
扉の向こうに消えた雪乃の後ろ姿を思い出しながら、そう祈り、願った。