第22章 *File.22*
「歩美ちゃん?どうかした?」
無垢で綺麗な瞳がジーッと、私と零を見比べる。
「望月刑事と安室さんが…」
『はい』
「すっごくお似合いだから、見とれちゃったの!」
『ありがと(うございます)』
「そうじゃな」
「阿笠さんにまでそう言われると、ちょー恥ずかしいんだけど」
「新婚のくせに何を言うとるんじゃ。本当に雪乃君は照れ屋さんじゃのー」
「ですね」
「……はい、望月!」
だから、みんなしてその生暖かい視線は止めて!
と、ポケットの中のスマホが震えた。
『もう出られるか?』
「三分後には」
『了解』
「ってことで、お呼びです」
「えーっ!早くない?」
「仕方ありませんよ」
食べ終わったばかりの高木も、苦笑交じりにため息を洩らす。
「もう行っちゃうのー?」
「これこれ。無理を言うでない」
立ち上がると、会計に向かう。
「これ、みんなの分ね」
「雪乃君?」
「今日は奢らせて。みんなには何時も助けてもらってるから」
阿笠さんの声に振り返る。
それに子供達との会話に、笑顔には癒されてる。
「畏まりました」
「ほら、二人共早く!」
「ぼ、僕達の分もですか?」
「可愛い後輩だからね!」
パチリとウインクした。
「雪乃さん、ご馳走様でした」
「いえいえ」
「ほら、高木君も!」
「あ、有難うございます」
「はい」
美和子に肘でつつかれて、ようやく高木も我に返る。
「いってらっしゃい」
「行ってきます」
零に頷き返してから、ポアロを後にした。