第21章 *File.21*
「返事は?」
「嫌いにならないに決まってる」
「……」
「私は零を愛してるの。何時何処にいても、例え、この身に何があったとしても、永遠によ」
「!」
あー、失敗した。
真っ直ぐに俺を見上げて。
真剣な口調なのに、愛情が溢れた優しい瞳で、柔らかな表情で。
そこには嘘偽りが無い、純粋な想いと深い愛情と言う名の真実しかない。
「…零?」
「バカはやっぱりお前だ」
勘弁してくれ。
こんな場所で、オトコを一気に高みへと導くようなセリフを吐くな。
我慢どころの話じゃなくなるだろ。
とりあえず空いている腕で雪乃を抱き締めて、落ち着かせる。
愛される悦びで高まるばかりの、この心を。
上り詰めるこの想いと、動揺を抑え切れていないだろう表情を誤魔化す為に、雪乃を抱き締める腕に力を込めた。