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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第20章 *File.20*


「……」
「行かないのか?」

そう言いながら差し出された、大きな手のひら。

「いっ、行きます!」

お手洗いで着替えて驚いた。
何時もみたいに街中を歩くような格好ではなく、二人とも動き易いカジュアルコーデだったから。
サイズがピッタリは当然のこと、シンプルな中に可愛さもあって、ドストライクなセンス。
あれから行き先を告げられないまま連れて来られたのは、まさかの世界一有名だろうテーマパークだった。
で、今目の前に聳え立つのは、そのテーマパーク内にある立派なホテルのエントランス。
テレビや雑誌の特集で見て聞いて、一度はこのホテルに泊まりたいと言う願望はずっとあった。
けど!

「平日とは言え、この時期に当日予約が取れたのは超ラッキーだったな。日頃の行いの良さの賜物か」
「……」
「何かお気に召さないことでも?」
「違うよ!感謝と謝罪の気持ちが同時にあるだけ」

だって、ホテル代!
当日予約でもちょー高いでしょ?

「俺達は夫婦だろ?」
「うん」
「雪乃はただ…」
「ただ?」
「俺に愛されればいい」
「!!」
「永遠に。俺だけに」

こちらを少し振り返った角度で真っ直ぐに見つめる、柔らかな色と深い愛情を表した蒼い瞳。
お金や金額じゃなくて。
裏で手を回し、落ち込んだ私を此処へ連れて来てくれた、零の気持ちやその想いを素直に受け取れと。
誰よりも私を愛しているのだと。

「ば、バカっ!」

こんな場所で言うセリフと表情じゃないっ!!
直に伝わって来る零からの愛情に、幸せ過ぎて涙が溢れそうになる目元を隠すために俯いた。
一瞬の間に色んな感情が交差して、この想いを上手く伝えられない。
今はまだ繋いだままの温かい零の大きな手のひらを、ただきつく握り返すことしか出来なかった。


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