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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第20章 *File.20*


「よりによって公安?マジで有り得ないでしょ」

出勤して普段通りに警視庁内に停めていたハロで一人きり、ハンドルに項垂れて呟いた。

「ないわー」

やっぱり入籍と同時に辞めればよかった?
いやいや、でもねー…。

「…ハア」

『望月雪乃警部、来年の二月一日付で、君の異動が決まった』
『異動、ですか?』
『ああ。異動先は警視庁公安部だ』
『!!』

あの管理官、優雅にピラッと紙切れ一枚差し出して、何をサラッと重大発言してくれちゃってんのよ!!
受け取った紙切れをガン見するなりもう、絶句しか出来なかったわ。
私が暫く言葉を失ったのは、仕方が無いコトですよね?!

「あ〜あ」

近い未来に警察を辞めるまで、このまま捜査一課の一刑事として、任務を果たしたかったのに。
しばらくショックで立ち直れないわ。
世間はクリスマスで浮かれ、彩られているのに。
仕事は変わらず忙しいけれど、それでも確かに私もそれに半分は乗っかかっていたはずなのに。
そう、ついさっきまでは。
あの一言を聞いた瞬間、足元から色んな物が崩れ落ちた。
ホント嫌な直感ほど、よく当たる。
ん?
この異動のコトは、夫の零には既に伝わってる?
ってコトは、景光も知ってるわけで。
いくら私の夫でも実の兄でも、私に直接言えるワケない、言いたくは無い。よねー。
人生楽あれば、苦あり。
身に染みて、よーく分かってますよ!
30年も生きてたら、嫌でも!
だけど、ね!

「ハア」

もう、今はため息しか出ないー。
さすがにこの状態じゃ、仕事に戻れやしないわ。
ハンドルに凭れたまま、色んな感情が駆け巡る頭と心を落ち着かせるために、静かに瞼を伏せた。


コンコン

「!」

あれから10分ほど経った頃、突如、運転席側のガラスを外側から叩かれ、ビクッと身体を震わせた。

「零?どうしたの?」

エンジンは掛けていないから、ロックを解除してドアを開く。

「とりあえず、降りろ」
「う、うん?」

回転の鈍い脳を動かしながら、腕を引かれてなすがままにされる。
と思えば、手にしていたらしい大きな荷物を後部座席に置くなり助手席まで連れて行かれて、半ば押し込むように座らされた。


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