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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第20章 *File.20*


「見事にヤラれた、な」
「ああ」
「何時か、その可能性はなくはないとはずっと思ってたけど」
「俺もだ。結婚と同時に辞めさせればよかったか?」
「それは無理だ」

即答された。

「まあな」
「相手はあの、雪乃だぞ?」

視線を合わせてため息を付いた後、互いにビールを一口。

「同期の誼として、頼んでおくよ」
「分かってる。事情を知ってるのは風見さんだけか?」
「ああ、まだ風見にも伝えてはいないが。お前達は赤の他人のフリをするのは得意だろ?」
「それはお前もだ、ゼロ」
「褒められたことではないのは、確かだな」
「全くだ。だが、公安部に馴染むまで、かなり時間がかかりそうだよ」
「なんせ元刑事部な上に、あの性格。しばらくは傍に居てやってくれ」
「最善を尽くすよ。お前のために、妹のために」
「…愛しい愛しい妹、か?」
「ああ」
「少しは遠慮しろ」
「それは無理な相談だ」

視線が合った次の瞬間、二人同時に吹き出した。
出逢った頃から何も変わらない、俺達の関係に。

「雪乃を大切にしないと、オレが兄さんに叱られる」
「兄妹揃って、困ったもんだ」
「その件に関しては、諦めてくれ」

お互いに生命がある限り、か?

「仕事としては、二人ともゼロとして協力を要請することもあるだろうから、その時は宜しく頼むよ」
「お前の頼みなら、何なりと喜んで賜るよ、オレも雪乃も。他の誰かを頼るぐらいなら、真っ先にオレ達を頼ってくれ」
「ああ、助かるよ」

風見には悪いが、景光と雪乃ほど頼りになって安心出来る助っ人は、相棒は他にいない。
缶ビールをカチンと合わせると、しばらく二人で話に弾んだ。
たまには、こんな夜もいい。
今、家に一人きりの愛しい妻には、申し訳ないけれど。


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