第19章 ＊File.19＊

｢！！｣
｢｢くっ、くくくっ｣｣
｢！？｣
｢ガチで固まったな｣
｢ムリはない｣
｢…今の話はご冗談、ですか？｣
｢｢まさか｣｣
｢お互い本気だよ｣
｢…ここまでくると、彼女も幸せなのか、不幸なのか分からなくなりますね｣
｢夫はこの俺だぞ。幸せに決まってるだろ｣
｢出た。俺様ゼロ様降谷様｣
｢…お前な｣
｢普段は超マジメなんだけど、たまーにこういうトコあるから、風見さんも気を付けて。って、今更か｣
｢…自分には何の問題もありませんので、大丈夫です｣
｢……｣
｢もう慣れたそうだ｣
｢…風見｣
｢仕事の話は落ち着いて聞きたいので、先にお手洗いに行って来ます。では｣
｢堂々たる言い逃げ。さすがだな｣
｢行くなら、否定してから行け｣
｢案外、素直だ｣
｢さっきから、トゲがないか？｣
｢たまには小言ぐらい言わせてくれ｣
｢…今度はお前に縁談話か？｣
｢マジで勘弁｣
｢お義兄さんもそろそろ落ち着きそうだな｣
｢えっ？！｣
｢幼馴染さえ気付いてないのに、彼女は一発で当ててみせたぞ？｣
｢マジか…｣
｢さあて、お前はどうする？全面的に協力は惜しまないが、俺は相性が悪いらしい｣
｢ムリはない。でもまあ結婚したら、余裕だな｣
｢そう見えるか？何時何処にいてもモテるよ、俺の妻は｣
｢…それこそ昔からお互い様だろ｣
｢ハア｣
｢早く公にしたいって？｣
｢当たり前だ。とは言え、それが出来るわけがないのも重々承知している｣
｢夢を叶えたのはいいが、現実は厳しいな｣
｢ああ。だが、それさえも覚悟の上だ。俺と彼女はな｣
｢それから、さっきの言葉は撤回しないよ｣
｢結婚してもか？｣
｢当然だ｣
｢お前は一生結婚はムリだ。もう諦めろ｣
｢なんてことを言うんだ｣
｢幼馴染だから言うんだ｣
｢｢……｣｣

チラリと一瞬だけ視線を合わせた後、互いに違う方向へ顔をそむけると、それぞれが意味深に長いため息を洩らした。