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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第19章 *File.19*


「どうした?」

信号待ちの停車中、フロントガラス越しに前に停るハロから雪乃が手を振るのが見えて、電話を掛けてみた。

『ねえ』
「ん?」
『大好きよ、零』
「っ?!」

ったく、一瞬心臓が止まるかと思っただろ!
それはさっきシェリーに告げていたセリフで、全く同じ口調で。
勿論、嬉しいが、だ!

「もし俺が事故ったら、お前の所為だぞ」
『なぁんだ。喜んではくれなかったのね』

照れ隠しもあって唸るように言ってしまったから俺が怒ったと思ったらしく、残念そうな声がイヤホン越しに聞こえる。

「そういうセリフは、ちゃんと面と向かって言ってくれ」

勿体ない、だろう?

『…恥ずかしいから、ヤダ』
「今更、か?」
『うっ』

きっと今、紅い顔をして照れているはず。
やっぱり勿体無い。

「そんな可愛いことを言われると、今すぐに抱き締めてシタくなる」
『……って、何を?』
「S○X」
『いやぁぁぁぁーっ!』
「鼓膜が破けるから電話越しに叫ぶな。あと、それはどういう意味だ?」

思わずハンドルから片手を離して、イヤホンをしている耳を押さえた。
俺も30の男だぞ?
それぐらい普通に口にするだろ?

『その顔で、その声で、堂々と言い切らないでっ!』
「今の発言は、褒めてるのか貶してるのか、一体どっちだ?」
『ほっ、褒めてるに決まってるでしょ!』
「それは至極光栄だ」
『もぅ、言うんじゃなかったー』

信号が青に変わり車を発進させながら、唇を尖らす雪乃の表情がありありと目に浮かぶ。

「くっ。見事に返り討ちにあったな」
『あーあ』
「だが、お前の気持ちはちゃんと受け取ったよ、雪乃」
『…それは大変ようございました』
「くくくっ」

雪乃、お前だけだ。
何時もどんな時も俺のこの心を、感情を、ここまで激しく揺さぶり、かき乱してくれるのは。
だからこそ、可愛くて愛しくて、雪乃を愛さずにはいられない。


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