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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第4章 *File.4*


のが、つい先週。

「…帰る」
「ダ~メ」
「どうして!」
「閉店まで待つ約束ですよ」
「ヤダ」

カウンター越しに、裏の有りそうな安室透スマイル見せられても、のってやんない!
放課後のJK本気で怖い!
視線が痛いの!
思いっきり睨まれてる!
平日の夕方は高校生は少ないから平気って、何処がよ!!
ゼロをチラ見するJKの目は♡マーク、ゼロの傍にいる私の背中には、燃え盛る嫉妬の炎の槍が深々と突き刺さってんのよ!
アンタ、この一年半、一体此処で何してたの?!
ってか、私はいち客としてカウンター席に座ってるんだから、私の傍にいるのはゼロの意思だ。
今ばっかりは、迷惑なだけ!
私は営業中のポアロには来たくないとハッキリ言いましたよ、ね?

「ふふ」
「?」
「どうやら、本当に帰れなくなってしまったようですよ?」

悪魔のような笑みを洩らした彼が指差したのと同時に、カラン♪とベルの音を立ててポアロの扉が外側から開いた。

「いらっしゃいませ」
「ウソでしょ?」
「ね?」

呆然とする私に、ゼロは楽しげに挨拶してみせた。
その、獲物を逃がさないかのような瞳以外、は。


「珍しいですね、雪乃さんが此処に来てるのって」
「まあねー」

新しい来客により、カウンター席からテーブル席へと移動させられた。

「僕がお誘いしたんですよ」

トレイに乗せたグラスとおしぼりをテーブルに並べながら、にこやかに答える。

「えっ?安室さんと雪乃さんって、お知り合いだったんですか?」
「「……」」

それはお互いがお互いのことを話せる状況じゃなかったから。
きっと私が知らないだけで、ニアミスもしてるはず。
好奇心丸出しの目を輝かせて話す蘭ちゃんの隣で、新一が無言のまま同情する視線を寄越した。
黒の組織の壊滅後、志保の薬の開発が順調に進み、ようやく江戸川コナンから元の工藤新一の姿に戻った時に呼称を迷った挙句、工藤君って呼んでみたら、今更それは気色悪ぃから新一でいい。と言われたのだ。
私はとある事件で偶然江戸川コナンと出会い、続いて灰原哀やら沖矢昴とも知り合い、それぞれの色々複雑な立場や事情を知ってしまった。
黒の組織のことも、その組織に公安のスパイとしてゼロと景光が絡んでいたこと。
それによって、突然二人が私から異常なほどの距離を置いて遠ざけ、私を陰から見守っていたのだと。



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