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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第19章 *File.19*


「貴方に遠慮する理由なんて、あったかしら?」
「ない、ですね」
「でしょう?それから、これだけはずっと貴方に直接伝えたいと思っていたから、ちょうどよかったわ」

俺の方へ向き直ったシェリーの真剣な目が、真っ直ぐに向けられる。

「僕に、ですか?」
「ええ。雪乃を幸せにしないと、誰が何と言おうと私が許さない。それだけは一生覚えてて」
「承知、しました」

カートから手を放すと両手を挙げて、降参の意を伝えた。

「し、志保?」
「なに?余計なお世、話っ!?」

そこで、シェリーの声は途切れた。
言葉の続きは、「って、言いたいの?」か?

「…ありがと」
「…雪乃、場所を考えて」

声は呆れているが、その頬は紅い。
まあ、こんな場所で抱き締められたら、さすがにね。
周りの客も何事だ?と、ギョッとした様子で、こっちを見ている。
雪乃にとってシェリーは友人の一人であり、本当の妹のように大切に思っている人物でもあるからムリはない。
雪乃もまた、シェリーには幸せになって欲しいと願っている。
組織を通し、彼女の哀しい過去を知ってしまった時に、その思いは更に増した。

「大好きよ、志保」
「!?」

何の突拍子もなく耳元で囁かれた優しい告白に絶句したシェリーは、もう耳まで真っ赤だ。
そう告げた雪乃の表情は、工藤君や黒羽快斗に見せる優しい姉の姿そのもので。

「……」

何故か、俺まで照れてしまいそうになる。

「お待たせいたしました。いらっしゃいませ」

レジの店員の声に、雪乃はようやく腕を放した。

「志保も忘れないでね」
「…一生忘れられない、わよ」
「ふふっ」

珍しく照れを隠すように、ススッと視線をそらしたシェリーの言葉に、雪乃は満足そうに笑みを洩らした。


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