第17章 *File.17*
「フフフ。女の直感よ!」
「それは困りましたね」
貴女の直感は侮れませんからね。
「高兄も早く結婚しなよね!」
「そうですねえ」
「お前ら、公衆の面前で何時まで呑気に引っ付いてんだ。再会の度にこれだ」
「私は勘助に会いに来たんじゃないもーん」
「可愛くねえな、相変わらず!」
「フーンだ」
勘助君が睨みを効かせても、慣れたように知らん顔。
この通り悪人面なので、それなりに迫力はあるはずなんですが、慣れとは怖いものです。
「挨拶は済ませましたか?」
「もちろん!」
お墓で眠る、父と母に。
それから、まだまだ元気な祖父母に。
「ってか、場所移すぞ」
「ですね」
「あら?人がわらわらと集まって来た?」
男共はシンプルでいて可愛く着飾っている雪乃に、女性達はイケメンな降谷君に釘付け状態。
大丈夫です。
二人共、刑事にも潜入捜査官にも全く見えませんから。
「お前の所為だ、お前の!」
「勘助がガラ悪いからじゃん!」
「アホか!俺は此処の刑事だ。部外者はお前らの方だろうが!」
「えーっ!私、勘助よりは賢いと思う」
「はぁあ?」
この二人も相変らず、仲がいいのか悪いのか?
「色々とすみません」
「謝る必要はありませんよ。兄として、これでも妹の性格は十分に把握しているつもりですから」
きっとこの場に景光がいても、同じ状況になっていたはず。
私にアポを取ろうとするのを、無理矢理止めさせられた。ですよね?
「助かります」
「私の方こそ、何時までもお転婆娘ですみません」
「…もう、耳に入りましたか?」
「管理官から直々に。ついで話として、ですが。その後は?」
「ご心配なさるようなことは、何も」
「一安心ですね」
「今のところは、ですが」
「…確かに」
幼い子供みたいに、未だに何やら言い合いを続ける妹と幼馴染を眺めやると、妹婿と二人でため息を洩らした。