• テキストサイズ

*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第15章 *File.15*


「……」

なあ、雪乃。
俺が知らねえとでも?
けどな、とてもじゃねえが、俺からも言えねえんだよ。
俺とお前だけの思い出の一部であるそれを、消せ。なんてことはな。
だから、お前の決心が着くまで、あえて黙っておくぜ?

「なんで陣平ちゃんだけに聞くかな?」
「そりゃ、佐藤がお前のこと知らねえからだろ」
「えーっ!俺も雪乃と話したいー」
「駄々っ子かよ」
「お前だけには言われたくないなあ」
「しかしまあ、良くも悪くも出会った頃から雪乃は変わんねえな」
「しかも、管内で拳銃発砲って」
「さすがの俺でもねえわ」
「いちいち逞し過ぎて、ゼロの立場がねえ」

雪乃の後ろ姿を見送っていた三人は顔を見合わすと、吹き出して笑う。

「雪乃らしくて、いいんじゃねえの?」
「ヤキモチですかー?」
「松田、お前、千速さんはどうしたよ?」
「あれれー?陣平ちゃんは二股ですかー?」
「そういや、二人共似たタイプか」
「いや、姉貴の方が強いから」
「誰より?」
「そりゃ、陣平ちゃんより」
「……違いねえ」
「どっちもイイ女なのは、確かだがな」
「姉貴に関しては、ノーコメントで」
「当たり前だろ。俺が惚れた女だぜ?」
「二股で威張られても」
「説得力はねえな」
「いいだろ、別に」

二人の女を同時に、此処から見守っていても。
もしまだ生きて刑事としていられたとしても、千速には神奈川県警の横溝、雪乃にはゼロがいる。
それは分かっているつもり、だから。

「とは言え、二人共まだまだ危なかっしいから、俺達は此処から見守るとしますか」
「「だな」」

松田と伊達は萩原の言葉に大きく頷いて、優しい笑顔を見せた。


「「くしゅん」」

その頃、管内では雪乃が、神奈川の地では千速が同時にくしゃみをして、揃ってキョトンと首を傾げていた。


/ 212ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp