第15章 *File.15*
「それは雪乃さんと由美が勝手に決め、って……雪乃さん?!」
「昼休憩終わりでーす」
「もう!早く言ってよ!」
「……」
ねえ、陣平。
私は……。
あの頃より、少しは強くなれたかな?
こちらに向かって来る美和子の方を振り返り、視線を彼女から遠く高い空へと向けて問いかける。
『ああ、強くなったぜ。だから、安心してゼロと幸せになれよ』
「!」
『約束だからな、雪乃。絶対に忘れるなよ!』
「うん。ありがとね、陣平」
決して色褪せることのない馴染み深い声と共に、ふわりと優しい風が頬に触れた。
まるでそれは人肌の温もりのような、柔らかさをもって。
「……雪乃さん?」
「はいはい」
またね!
非常階段の前で首を傾げる美和子に返事をすると、私は再び踵を返して、屋上を後にした。