第2章 *File.2*(R18)
「雪乃、愛してる。世界中の誰よりも」
「私は降谷零、貴方しか愛せないの。零の代わりなんて、この世の何処にもいないんだからね」
瞳を大きく見開いた後、ふわりと微笑みながらぎゅうと俺を抱き締めた。
俺よりも随分と小さな身体なのに、何故か途轍もなく大きくて柔らかく且つ繊細な真綿に全てを包み込まれているような、温かく優しい気持ちになる。
この心さえ、隅々まで癒されて行く。
ああ、これ以上の幸せはない。
あるはずがない。
きっとこれは雪乃だけが俺にかけられる、魔法なようなもの。
「有難う」
この先、どんな未来が待ち受けていたとしても、変わらないたった一つのものを見つけてしまった。
本当は望月雪乃と出逢った幼いあの日に、この日を迎えることが決まっていたに違いない。
「私の方こそ有難う。零に出逢えたことが、私の人生最大の幸せなの」
コツンと額を合わせて、ふわりと笑い合う。
そして、どちらともなく唇を重ねた。
今はただのオトコとオンナ。
職業や地位、立場の柵を捨て、身体を重ねて魂ごと愛し合う。
この世界中で、この世でたった一人の、最愛のヒトと。
夜明けまでは、まだ遠い。